【ワイン産地レポート】オーストリア・ヴァッハウ渓谷(後編)

(出典: Wikipediaより)

ヴァッハウのブドウ畑は、さまざまなスタイルを表現するテロワール集まりだ。

主なエリアは3つに分けることができる。

ちなみにすべて『木の香りがない、辛口ワイン』は共通事項。


【ワインの分類】 

1:シュタインフェダー(Steinfeder)

→地域固有の羽毛草の一種

最大アルコール度数11.5%の最も軽いスタイル。 

生き生きとした爽やかで繊細なスタイル。 

(ドイツのトロッケン・カビネットTrocken Kabinettと同類)


2:フェダーシュピール(Federspiel)

→鷹狩りで獲物として使用される鳥の一種

アルコール度数が11.5%から12.5%の間 

本質的にワインは少し口当たりが豊か 

食べ物によく合うスタイル 


3:スマラグド(Smaragd)

→畑に出没するエメラルドグリーンのトカゲを指す

最高品質で最も強力なカテゴリ

標高の高いエリアの畑

最低12.5%(VDPの総Gewachs) 


【ヴァッハウのワイン造りの違い】

この地域のポイントは『テロワール』『ブドウ品種』だけでなく、その醸造スタイルも重要なファクターです。


1 オーク

法律による明白なオークに関する示しはないが、ニュートラルなオークを使用する傾向にある。

ニュートラルなオークとは因みに、熟成期間内に十分に酸化させる環境でありながら、ワインに大して『木』の印象を与えない環境のことをいう。

オーク材を使用し熟成を支持する人々がいるのは、ワインにクリーミーな味になる傾向。  


2 スキンコンタクト

果皮接触という意味。

製造元によって異なりるが、最大10日間の経ているアイテムは注意する。

酸化と香りのボリューム感のバランスを注視。

接触期間が長いワインは、若干重くタンニンが強くなる傾向。


3 シュール・リー

発酵後の果皮接触の意味。

ヴァッハウのワインではメジャーな製法。

長期の果皮接触は、苦みやフェノール(芳香性)を柔らかくして、

クリーミーで丸みのある骨格をもたらす。

12ヶ月から13ヶ月熟成させるケースもある。

単一畑では少量のボトリティス果実(貴腐菌)を加えるすることある。これにより豊かな骨格、芳香、複雑さを与える。


【ヴァッハウ産地の概要】

●スロバキアの国境から145kmに位置 ウィーンから車で1時間

●気候は大陸性気候で、冬は短く寒く、乾季は長い

●収穫時期は、ドナウ川の穏やかな影響(凍えるような天気を遅くする) 

収穫期は11月にまでなることもよくある

●年間降水量がわずか19.7インチ/ 500 mm 

(乾季に点滴灌漑を行う場合もある)


【オーストリアの大陸性気候がワインに与える影響】

限られた水分と日照度で、ブドウは十分な熟成とアルコール度数(12-14%)に達する。 

育成シーズンが長くなるためブドウの酸味は高まる。

貴腐は稀であるため、この地域は伝統的に辛口の白ワインを生産する


(出典:WineFollyより)

【ヴァッハウ地区は3つの主要なセクションに分けられる】 

1:西ヴァッハウ

西部のスピッツ(Spitz)とスピッツァーグラーベン(Spitzer graben)にヴァルトフィアタール(Waldviertal)という北部の森からの涼しい風もたらされる。これは全体的な気温を下げる役割を果たす。フレッシュで力強い酸味を備えたスマートなワイン。

土壌は、石灰質混じりの砂質(ブルグベルクのブドウ園)。これはより色合いの明るいワインを産出する。また一部には鉄分(アッツベルクのブドウ園)が多い土地。これはより色の濃いワインを産出する。


2:ヴァッハウ中心部

ヴィーゼンキルヒェン(Wiessenkirchen)近くの中心部。

気候が温暖化するパンノニア盆地に吹く風の影響を受ける。やや豊かなスタイル。

肥沃な黄土と角閃岩の土壌は、有名なアッフライテン(Achleiten)とホッホライン(Hochrain)のブドウ畑でより骨格のあるスタイルをもたらす。


 *角閃岩 (かくせんがん、amphibolite, hornblende schist)は、普通角閃石(hornblende)と斜長石(plagioclase)を主成分とする変成岩。 

(出典:Wikipediaより)


3:東ヴァッハウ

ドゥルンシュタイン(Durnstein)周辺。さらに東部では、気候はさらに温暖化。

約25ヘクタールのロイベンベルグ(Loibenberg)には片麻岩混じりの痩せた土壌

より肉厚で豊かな質感のスタイル


*片麻岩(へんまがん、英: gneiss)は、変成岩の一種。片麻状組織を持つ岩石の総称。組成による分類ではなく、変成作用を受けた条件によって分類される。つまり、同一の原岩に由来する変成岩であっても、あるものは片麻岩となり、別のものは他の変成岩になりうる。原料となる岩石はさまざまである。

(出典:岩石鉱物詳解図鑑より)

【ヴァッハウ渓谷のブドウ畑】

視覚的にも文化的に見事な人工の『石垣テラス』は、1000年前から引き継がれている。

このスタイルは「乾燥した環境」を意味している。モルタルを使用せず、排水が特化されている。

また土壌の侵食から保護されると同時に、涼しい夜間に必要な熱を放出される。つまり日中に熱を保持し、夜は熱を放出する。

この人工の石垣テラスがなければ、最高500mの標高にある急斜面でのブドウ栽培は不可能になる


 

【畑の岩石】 

岩盤構造プレートは約3億5千万年前までさかのぼる。

イタリア半島が大陸に衝突して山を作った際、熱と圧力でこれらの花崗岩の山々を形成する。

そこに片麻岩、大理石、角閃岩に変容させた。

ドナウ川はこの片麻岩を通り抜け、河床に海洋堆積物(粘土と石灰質の泥炭)を残すことになる。

氷河期の風害により地域東部の黄土混じりの砂質土壌が形成され、それらは低い斜面の畑と平野の部分に多く見られる。

斜面の急な地域は、侵食堆積物が収集されており、表土が深くなっている。これはブルゴーニュを含む多くの高級ワインを産する地域の典型である。



【観光】 

●食事

ドゥルンシュタインのヴァッハウアーシュトゥーべ(Wachauerstube)では日替わりメニューに、カボチャの種をローストして作ったカボチャスープに、地元の名物である地元のナマズが注目。


スピッツのガストホフ・プランクルではカレーベースのスープに、伝統的なシュニッツェル、またオーストリアのジャガイモとアジアをテーマにした創作料理も注目。


●観光

『メルク修道院』 1089年に設立。バロック様式後期の外観(1500年代のもの)、ゴシック様式および『ネオゴシック様式のインテリアを備えている。 

『ヴァイセンキルヒェン』(白い教会を意味する)はオーストリアで最も古い要塞化された教会広場の1つ。国内で最も長く運営されている幼稚園(987年以来)がある。ブドウ畑にも囲まれている。

『ドゥルンシュタインの市街地』 最も観光客が多い村。町の背後にある山腹を30分間ハイキングも楽しむことができる。

『クレムス』は ヴァッハウの一部ではないが、この地域で最大の都市 ショッピングに最適。


これらの内容はWineFollyより参照




 いかがでしたか。 


このブログでは南チロル(アルト・アディジェ)州を中心に、様々なワイン生産地を気候、歴史、独自ブドウ品種などを紹介しております。


もし気になる生産地やワイン、ワインメーカーなどございましたら、どうぞお気軽にコメント欄にお書きください。 


それでは楽しいワインライフを。 


【ワイン産地レポート】オーストリア・ヴァッハウ渓谷(前編)



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Avvocato del Vino Altoatesino

【旧:南チロルの風ブログ】2003年よりイタリア・南チロル地方(イタリア語:アルト・アディジェ州)で働くソムリエが、ワイン生産者やイベント、地域について紹介するブログです! 【南チロルの風ブログURL: https://altoadigefiordiciliegio.blogspot.com/】

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