【カンティナ情報】サン・ミケーレ・アッピアーノ San Michele Appiano

先日に引き続き、ちょっと古めの試飲会レポートをまとめようと思います。

一昨年2018年のメラーノワインフェスティヴァルにて、サン・ミケーレ・アッピアーノ社がリリースするトップワイン『アッピウス』のバーティカル試飲会がありました。

その模様をまとめましたので、ご紹介いたします。


その前に今回はカンティナ概要をご紹介。



【生産者概要】

●カンティナ名:San Michele Appiano (伊)–San Michael-Eppan(独)

●所在地:アッピアーノ

●住所:Via Circonvallazione 17-19  39057 Appiano sulla Strada del Vino

●創業:1907年 

●メンバー:340農家(創業時27農家) 

●プレジデント: Anton Zublasing

●エノロゴ: Hans Terzer(1977)

●アグロノモ: Norbert Spitaler

●栽培面積:385 ha 

●生産ライン:計38種類 

 ■ Appius

 ■ The Wine Collectionライン(2):

  Sauvignon, Pinot Nero

 ■ Sanct Valentinライン(11):

  CH, PG, SV, PB, GWT, Comtess, CAB, ME, LAG, PN, CAB+ME

 ■ Selezioneライン(11):

  PB Schulthauser, SV Lahn, CH Merol, RS Montiggl, PG Anger, 

  Moscato Rosa Stockhammer, MR-Cab De Piano, PN Rosé,Schiava Pagis, PN Ris, Lag Ris, 

 ■ Classicライン(13):

  CH, PB, PG, Müller Thurgau, Moscato Giallo, GWT, Sylvaner,

  Schiava Nobile, Lago di Caldaro Scelto Sattel, Santa Maddalena, PN, Lagrein, Cabernet


●生産量:2,500,000本

●観光:週末のみカンティナツアー(要予約) 

●ワイン販売: 併設(試飲できる)月-金9-18:30  土9-17夏季

●お勧めレストラン: レストラン・ツル・ローゼ(アッピアーノ) 

●インポーター: モンテ物産株式会社



【歴史】

アッピアーノ郊外の土地では、2000年以上ブドウ栽培が行われてきました。

サンミケーレアッピアーノワイナリーは1907年に設立され、今日ではそのバックボーンを形成する約380の農家と契約し、高品質なワイン生産を行っています。  

ブドウ栽培は、それぞれが知識、情熱、献身をもって貢献し、カンティナがブドウを注意深く繊細に扱うことで、高品質のワインを維持できています。


【生産エリア】

南チロルでは約5300ヘクタールのブドウ畑が存在しています。

その中でこのオルトラディジェ(アッピアーノからカルダロにかけてのエリア)は約1700ヘクタールもの葡萄畑が存在しています。

カンティナでは380農家以上の契約畑を管理し、それらはほぼ日当たりの良い斜面に点在しています。

385ヘクタールのブドウ畑のほとんど(70%)は、ピアーノディソプラからモンテ、ミッシアーノまで、アッピアーノのコミューンにあり、それらはメンドラ山の麓、南東向きの斜面にあります。

他のブドウ畑は、サンミケーレ周辺からコルナイアーノまでカルダロ湖の方向の平野にあります。

単一のブドウ畑は、ボルツァーノ、グリス地区、カンペニョ、ラコスタ、コステ、コルタッチア近くのコロナにもあります。 

南チロルの特別な気候のおかげで、白ブドウではピノブラン、シャルドネ、リースリング、ソーヴィニヨン、ピノグリジョ、ミュラートゥルガウ、シルヴァナー、ゲヴュルツトラミナーなど。

赤ブドウでは、ピノノワール、カベルネ、メルロー、ラグレイン、スキアバ等栽培されています。



【土壌】

アッピアーノの土地は、複雑なパズルのようです。

地質構成とブドウの木への相対的な影響は、品種によって異なります。


アッピアーノの近辺にある主な生産エリアでは、主に氷河の作用とその後の侵食によって形成された砂利土存在しており、 その土壌は氷河期の堆積物から形成されるモレーン土壌と呼ばれます。

この土地の特徴は、pHが低く通気性がよいため、特定の深さまでしか浸透しません。またブドウの成長をゆっくりとさせてくれます。

アッピアーノでは、主にソーヴィニヨンブラン、ピノブラン、シャルドネ、ピノグリジォなどの白ブドウ品種が栽培されていますが、カンティナではピノノワール、メルロー、ラグレイン、スキアバなどの赤ブドウも栽培されています。 


斜面の一部には、氷河期に形成された砂利石灰岩の土壌という部分も見られます。

それらはpHが高く、良好な栄養を貯めておける性質があります。

また一部ドロマイトと呼ばれる、鉱物である苦灰石(くかいせき)あるいは岩石である苦灰岩(くかいがい)と石灰岩の岩で構成されているエリアもあります。


たとえば、粘土含有量が高い土壌の場合、ピノノワールはよく生育します。

一方、砂質まじりの石灰岩土壌では、赤ブドウ品種、スキアーバ、カベルネ、メルローなどけでなく、ゲヴュルツトラミネール、シャルドネ、ソーヴィニヨンなどの白ブドウ品種にも適しています。


河川による堆積作用によって形成される地形「沖積土壌」。

モレーン土壌のような形成でできたこの土壌ではアッピアーノ近郊にも存在し、それらは斜面にわずかな小石と砂質土壌で形成されています。

南チロルではこの種の土地を「フリンス」と呼んでいて、この土地の代表的な品種ラグレインに典型的なテロワールとして認知されています。

またラグレインだけなく、スキアーバやメルロー、ピノノワールなどの赤品種や、シャルドネ、ピノグリ、ゲヴュルツトラミネールなどの白品種でも、地中深くに根がはりミネラル分を多く含むと、非常に魅力的な栽培エリアとしても注目を浴びています。


斑岩質の赤みがかった土壌では、火山岩から形成されており、粘土質と砂質が混ざり合ってできています。

ここでは日中の太陽熱を保温しておく効果があり、また太陽光を反射する特性と換気がよいため水捌けも良く、特に白ワインの生産に適応しまていす。


【ブドウ畑】

ブドウ畑での作業は、主に自然環境が行います。

ワインを育てる農家の努力と力がなければ、年間250万本のボトルを生産することはできません。

エノロゴのハンス・テルツァーは、カンティナで品種の特徴を最大限に活かし、醸造に細心の注意を払ってワインを生産しています。 

これはブドウ畑での作業のおかげでのみ可能なことなのです。 

これが最高の品質を保証する唯一の方法であり、その為の土壌とブドウ樹の研究は絶え間なく続いていきます。



【品種説明】 

PB:ピノ・ビアンコ(Pinot Bianco) 

CH:シャルドネ(Chardonnay) 

PG:ピノ・グリージョ (Pinot Grigio) 

SV:ソーヴィニョン・ブラン(Sauvignon) 

GWT:ゲビュルツトラミネール(Gewürztraminer) 

PN:ピノ・ネーロ・ピノ・ノワール(Pinot Nero)



【参考資料】 

San Michele Appiano HP 

 [Vini e Cantine dell'Alto Adige] Christoph Tscholl Angelika Deutsch 

 [Guida Veronelli]2020 


いかがでしたか。 


次回はいよいよ試飲会レポートに関して深掘りしていきます。 


このブログでは南チロル(アルト・アディジェ)のワインを中心に、製造工程から味の感じ方まで紹介しております。 


もし気になるワインや生産地、ワインメーカーなどございましたら、どうぞお気軽にコメント欄にお書きください。 


それでは楽しいワインライフを。   



関連情報



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Avvocato del Vino Altoatesino

【旧:南チロルの風ブログ】2003年よりイタリア・南チロル地方(イタリア語:アルト・アディジェ州)で働くソムリエが、ワイン生産者やイベント、地域について紹介するブログです! 【南チロルの風ブログURL: https://altoadigefiordiciliegio.blogspot.com/】

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