本日はカンティナ紹介です。ホテルに直営業に来てくださったアルミン・コブラー氏。その彼のワインをご紹介したいと思います。彼は元々は州営の農業学校ラインブルグで研究員として務めていました。2006年、実家のブドウ園を継ぐために家に戻り、ワイン作りを始めました。
コブラーのワインは州の南部マグレ/マルグライド(独)にある単一畑から作られており、テロワールの概念、そしてブドウのキャラクターを大切にしています。
アルミン氏曰く、南チロルではピノ・ビアンコがより独自色の強い品種として注目されているが、マグレエリアではよりピノ・グリージョの方が独自性が強い。ラベルにはあえてグラウ・ブルグンダーと表記しているが、どこか「飲みやすさ」よりも「キャラクター」を重要視したラインナップに見えます。
一部ホームページの内容を和訳して、そこに私の意見を加える形で今回の記事を作りました。ご興味があれば最後までどうぞご覧ください。
【生産者概要 Armin Kobler】
●所在地:マグレ
●住所:Strada del Vino 36 39040 Magrè
●URL: https://www.kobler-margreid.com/
●創業:2006年
●プレジデント: アルミン・コブラー
●エノロゴ: アルミン・コブラー
●アグロノモ: アルミン・コブラー
●栽培面積:ha
●栽培形態:
●生産ライン:計7種類
Chardonnay Ogeaner, PG Oberfeld, PG Klausner, GWT Klausner, Me Rosé, CF Puit, Me Ris Klausner
●観光:カンティナツアー(要予約)
●ワイン販売: 自社のHPで販売
●インポーター:なし
ワイン醸造
州南部にある小さなコミューン、マグレ(ドイツ語名:マルグライド)。このエリアにあるブドウ畑は標高は200〜220 メートルです。非常に暖かい地域で、石灰岩が含まれている土壌が特徴です。東部と南部の地域では、かなり深さのある砂質混じりのシルト(沈泥)土壌が多く見られます。
適した土壌に適したブドウを植えることを基本的に重要であると考えていて、「品質はブドウ畑で作られる」という言葉は単なるスローガンではなく、畑での作業時間が品質との比例していくものだと考えます。
アルミン曰く、州南部は渓谷が非常に深いエリアで、それはつまり標高が低いということだと言います。ワインを学んだ人であれば、標高が低いと「暑い地域」。逆に高いと「涼しい地域」と判断しがちですが、ここでは「標高が低い」=アディジェ川のほとり=寒さが漂流するということで比較的涼しいエリアだと言います。またマグレの街の西側(標高が高いエリア)でも夜間はメンドラの山塊から冷たい風が流れてくるので、ここでも晩熟なブドウが得られるということです。
ブドウ畑では生態系を壊さないように害虫管理システムを使用したり、天気予報を元にあえてリスクを受け入れる施作など取り入れたりと、近年、たくさんのデータや研究結果などをもとに、作業処理の数を大幅に減らすことができました。
収穫は全て手作業で行われます。通常は遅めの収穫期を迎えますが、品質基準を満たさない房は収穫の段階で破棄されます。ワインは、品種、地域、そしてもちろんヴィンテージも反映することが重要だと考えており、そのためカンティナ内、そしてブドウ畑での作業は最新の注意が必要と考えます。
それぞれのワインのラベルにはぶどう畑の地図をイメージするデザインが施されており、その品種が栽培されているエリアが色付けされています。イメージではラベルの左上がマグレの市街地を位置して、右側にアディジェ川。その中間にある単一畑が6つあります。それではそれぞれ詳しくみてみましょう。
オゲアネール・Ogeaner
位置:渓谷の深い位置にある畑
標高:208 m s.l.m.
土壌:砂質土壌
仕立て:ペルゴラ式
栽培本数(ヘクタール当たり):3.300本
植栽年:-1940年
栽培品種:シャルドネ
特徴:果実味が凝縮しており、アルコール分と抽出度の高さが味のマイルド感を高めている。
オーバーフェルド・Oberfeld
位置:渓谷の深い位置にある畑
標高:210 m s.l.m.
土壌:粘土質土壌
仕立て:グイヨ式
栽培本数(ヘクタール当たり):7.000本
植栽年:-2002
栽培品種:ピノ・グリージョ(グラウ・ブルグンダー)
特徴:食前酒にふさわしいマイルドさ、骨格よりもフレッシュ感が先行。
ピュイト・Puit
位置:ファヴォーニャ川の扇状地(緩やかな傾斜地)
標高:215 m s.l.m.
土壌:砂質混じりの粘土質土壌(ドロマイト-苦灰石)
仕立て:グイヨ式
栽培本数(ヘクタール当たり):7.000本
植栽年:-2001
栽培品種:カベルネ・フラン
特徴:ベリー系と香草系のバランスが秀逸。飲み疲れないエレガントさがある。
フェルド・Feld
位置:ファヴォーニャ川の扇状地(緩やかな傾斜地)
標高:214 m s.l.m.
土壌:砂質混じりの粘土質土壌(ドロマイト-苦灰石)
仕立て:グイヨ式
栽培本数(ヘクタール当たり):7.000本
植栽年:-2004
栽培品種:ゲビュルツトラミネール
特徴:果実味の凝縮感と口当たりのボリューム感が特徴的。余韻が長い。
コッツナー・Kotzner
位置:ファヴォーニャ川の扇状地(緩やかな傾斜地)
標高:223 m s.l.m.
土壌:砂質混じりの粘土質土壌(ドロマイト-苦灰石)
仕立て:ペルゴラ式
栽培本数(ヘクタール当たり):3.300本
植栽年:-1980
栽培品種:メルロー
特徴:遅積みのメルローをロゼにする。抽出度が高く、メイン料理向きのワイン。
クラウスナー・Klausner
位置:渓谷の深い位置にある畑
標高:209 m s.l.m.
土壌:平野、若干粘土混じりの砂質土壌
仕立て:ペルゴラ式
栽培本数(ヘクタール当たり):3.300本
植栽年:-1972
栽培品種:メルロー、ピノ・グリージョ(グラウ・ブルグンダー)
特徴
(ピノ・グリージョ):リッチな骨格、ボリュームタップリの味わいとミネラル感のバランス。
(メルロー):果実味と複雑性のバランスが絶妙。口当たりと余韻の長さが特徴的。
ニューリリースワイン「エティザ」
「étisa-エティザ」は主に2つの理由で誕生しました。1つは既存のラインとは異なるアプローチのワインを作りたい。2つ目は品種やテロワールの特徴より「飲みやすさ」の追求です。
シャルドネとピノ・グリージョのブレンドで作るこのワインは、ブドウ畑、品種、そしてヴィンテージの特徴をあえて追求せず、ラベルを通してラフに楽しめる、より即時的でより気楽なアプローチのワインです。エティザを味わうことで、特定の地域やブドウ品種を回想させないほどシンプルで「飲みやすさ」を追求しています。2019年の最初のヴィンテージで使用されたブドウは、シャルドネ3分の2、ピノ・グリージョ(グラウ・ブルグンダー)が3分の1であり、鮮度を高くアルコール度数を少し低くするために、通常より早めの収穫を行っています。またこのエティザという名前の由来は「昔のアディジェ川の名称」だそうです。
ちなみにアルミン氏はラインブルグの研究員だけありコルクに関しても深い知見があります。彼の作るワインスタイルとコルクとの関係を鑑みると、全てのワインはコルクではなくスクリューキャップを採用しています。コルクを使用するメリット・デメリットを比較すると彼のワインはデメリットの方が多く挙げられたことになります。またスクリューキャップの方が密閉率が高い分、赤ワインのリザーブタイプでもゆっくり瓶内熟成が行われます。ですのでメルロー・リゼルバ・クラウスナーも最新のビンテージは2013年なのです。
【品種説明】
CH:シャルドネ(Chardonnay)
PG:ピノ・グリージョ (Pinot Grigio)
GWT:ゲビュルツトラミネール(Gewürztraminer)
CF:カベルネ・フラン(Cabernet Franc)
ME:メルロー(Merlot)
【参考資料】
Armin Kolber HP
いかがでしたか。
このブログではでは南チロル(アルト・アディジェ)のワインを中心に、生産者の概要からワイン造りへの思いまで紹介しております。
もしご不明な点や気になるワインメーカー、ワイン、生産地等ございましたら、どうぞお気軽にコメント欄にお書きください。
それでは楽しいワインライフを。
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