今回はカンティナ情報です。カルダロ湖に近いセッピ社です。
このカンティナを知ったのは2018年にあるワイン商の方から勧められて数種類を試飲しました。その時紹介されたのは白ワインが3種類、赤ワイン1種でした。当時の印象は樽の印象が強く、果実味・甘味先行の口当たりで、好き嫌いがはっきりしそうな作り手だなというイメージでした。しかし同年秋口に行われたある試飲会で、もう1種の赤ワイン・カベルネ・フランを試飲してイメージが変わりました。果実味が十分に凝縮して、フラン独特のヴェジタル感が突出せず、むしろ果実味とのバランスが絶妙でした。味わいもカベルネ独特の後味にかけて広がるボリューム感が特徴的で一気に興味が増しました。ビオディナミを取り入れているところも注目して今回は深掘りしていきたいと思います。
今回もいつもの方にHPの記事を和訳しながら、私の意見も加筆してみたいと思います。ご興味があれば、どうぞ最後までご覧ください。
【生産者概要 Seppi】
●所在地:カルダロ
●住所:Via Prey 18 A 39052 Caldaro
●URL: https://www.seppi.wine/en/
●創業:2002年
●プレジデント: ヴェルナー・セッピ Werner Seppi
●エノロゴ: ヴェルナー・セッピ
●アグロノモ: ヴェルナー・セッピ
●栽培面積:?ha
●栽培形態: グイヨ+ペルゴラ(スキアーヴァ)
●生産ライン:計5種類
GWT、PB、SV、Lago di Caldaro、CF
●生産本数: 6133本
●観光:カンティナツアー(要予約)
●ワイン販売: カンティナ内に併設
●インポーター:なし
歴史
ブドウ畑とカンティナは、湖を臨む美しい村カルダロにあります。ヨーロッパで最も古く、最も有名なワイン産地の1つです。カルダロワインの歴史は1220年まで遡り、"ヴィヌム・デ・カルダロ-vinum de caldaro"と文献に言及され、何世紀にもわたって伝統を守り続けています。
カンティナ・セッピもその生産者の1つで、ワイン作りを何世代にわたって行ってきました。2002年からヴェルナー・セッピ氏が当主として活躍していますが、現在でも高齢である彼の両親も積極的に農作業を行なっています。
長年にわたりさまざまなアイデアを駆使し、より個性的な印象を与えるワインを作りたい。そのような望みが高まり、過去のやり方に囚われず、また環境にフォーカスした独自の路線。そこで彼は2005年、バイオダイナミック農法に転換していきます。
このカンティナの「こだわり」は、畑の仕事、自然及び環境資源との関係でブドウの個性を最大限に引き出すだけでなく、カンティナでの工程から瓶詰めされるまでの「品質」にあります。
ファーストヴィンテージである2016年は、一部のブドウを自社で醸造し、瓶詰めまで行いました。その品質はブドウ品種や土壌を反映するものであり、将来にわたり進化し、成長し続ける第一歩となるでしょう。
ブドウ栽培の歴史と自然との相互関係、そして現代のテクノロジーを加味した上で、積極的かつ責任あるワイン生産が今後の課題です。具体的には土地とブドウとの関係性を追求していくことが目の前
の目標です。
当主:ヴェルナー・セッピ氏(出典)Cantina Seppi HPより
ワインエリア
古代からの伝統を守るカルダロワイン。そしてカンティナ・セッピもその特徴を再現している生産者の1つです。それはさまざまな地域に点在したブドウ畑「テロワール」を重視したワイン作りを行なっていることにあります。
さまざまな種類を栽培することで、個々の土壌の特性と微気候条件を最大限に活用できます。 カルダロで指定されているブドウ畑の領域を「リーゲル」と言います。イタリア語では「ヴィニェート=畑」いう意味になりますが、ここで育つブドウ畑では歴史的な名前が付けられていることが多く見られます。それでは詳しくフォーカスして行きましょう。
Vigneto PANIGL パニグル
カルダーロの中心部部にあるパニグルは、斜面に位置しており、粘質性の高いシルト(ローム)土壌でモレーン(氷堆石)由来の形成です。ブドウ栽培に最適で「パニグル」という名前は、13世紀から読まれている町の紀要(定期的に出す刊行物)の名前です。また一説には粟(あわ「Panicum-パニクム」)やエノコログサ(猫じゃらし「Setaria glauca-セタリア・グラウカ」)が栽培されていた土壌だったのではないかと伝えられているようです。
栽培品種:ゲヴュルツトラミネール、ピノ・ブラン
(出典)Cantina Seppi HPより
Vigneto PREY プレイ
プレイと呼ばれる土地は、このカンティナがあるメンドラ山塊の麓に広がっています。この土壌は石灰岩由来の砂利で構成されており、メンドラ山塊から降る冷たい風の影響を受けます。「Prey-プレイ」という名前は、おそらくランゴバルド人(ゲルマン系部族)の用語「ブリーダ」に由来し、13世紀半ばにその管理下に委託された小さな農場の名前だとも言われています。
栽培品種:ソーヴィニヨン
(出典)Cantina Seppi HPより
Vigneto SEE ゼー(ドイツ語の「湖」)
その名前が示すように、カルダロ湖を囲む美しい風景の中にあるブドウ畑。ここでは典型的なペルゴラ式でスキアーヴァ種が栽培されています。土壌は石灰岩由来の砂利と肥沃的な粘土で構成されており、この地域は暖かい南風に影響を受けています。したがってぶどう畑の名前は水域に近いことを示しています。
Caldaro-カルダロという名前の語源にいくつかの仮説があります。最も可能性が高いのは、「熱いお風呂」という意味のアルペン・ロマネスクの用語「“caldariu”-カルダリウ」との関連があると言われています。
栽培品種:スキアーヴァ
(出典)Cantina Seppi HPより
Vigneto FELD フェルド
フェルド(ドイツの「野原」)と呼ばれる地域は、モンテ・ディ・メッツォ(ミッテルベルグ(独))の近くにあり、わずかな傾斜があります。カベルネ・フランは、この肥沃的な砂質土壌で育ち、歴史的にこのエリアは農業目的で使用されていなかった埋め立て地だったと伝えられています。
栽培品種:カベルネ・フラン
(出典)Cantina Seppi HPより
ビオディナミ
カンティナ・セッピが2005年以来続けてきたビオディナミ方法は、18世紀に活躍したオーストリアの哲学者ルドルフ・シュタイナーによって提唱された農業哲学で、セッピでは21世紀の現代にふさわしく適用される形でアレンジを加えながら継承しています。
農作業転換期の初期段階で師を仰いだのがAndrew Lorandアンドリュー・ロランド。彼の教えが支えとなり今日でも復習を兼ねての専門コースなどを受講したり、同僚や専門家との交流を深めたりとウェルナー氏にとって重要な経験を積んでいます。
カンティーナ・セッピの畑では、生物の多様性、その保護と菅理、有用な昆虫の保護と飼育、植物の健康とその強化をテーマにビオディナミ方法が取られています。これは、植物の土の下にも生息する生物にも該当する目的で、そのために専用植物の種をまいたり、バイオダイナミック製剤(シリカホーン、肥料ホーン、堆肥化製剤など)を使用したり、および公式に認定されているイラクサ、カモミール、つくしなどを栽培したりしている。その多くは適切なタイミングの元手作業で行われます。
現在、セッピではEU認定のオーガニックワイナリーとして認められており、デメテル協会による定期的なチェックを受けています。
【品種説明】
PB:ピノ・ビアンコ(Pinot Bianco)
SV:ソーヴィニョン・ブラン(Sauvigon)
GWT:ゲビュルツトラミネール(Gewürztraminer)
CF:カベルネ・フラン(Cabernet Franc)
【参考資料】
Seppi HP
いかがでしたか。
このブログではでは南チロル(アルト・アディジェ)のワインを中心に、生産者の概要からワイン造りへの思いまで紹介しております。
もしご不明な点や気になるワインメーカー、ワイン、生産地等ございましたら、どうぞお気軽にコメント欄にお書きください。
それでは楽しいワインライフを。
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