南チロルは別名アルト・アディジェと呼ばれています。前者はドイツ語(Süd Tirolスッド・ティロル)、後者はイタリア語(Alto Adigeアディジェ川上域)という政治的な面も見られます。
背景として1919年の第一次世界大戦終戦を皮切りに、イタリアに割譲された地域です。以前はハプスブルグ帝国、別名オーストリア・ハンガリー帝国の一部で、チロル伯爵領と呼ばれていました。城下町のメラーノを眼下に起き、3つの渓谷の中心に君臨したティローロ城(同名のコミューンに所在)があります。この城を中心に中世では領地拡大が行われ、その13世紀頃にその名は広域に知られるようになりました。
チロルについて(Wikipedia)
イタリアに割譲される前までは、ブドウ栽培農家が自家でワインを製造し、インスブルックやスイスへ販売していました。しかしイタリアに併合後は規制が厳しくなり、その反動として1900年代初頭にたくさんの協同組合が設立されることとなります。創業が一番古い協同組合は「カンティナ・アンドリアン」の1893年です。ブドウの植栽面積はイタリアで最小とされていますが、その地理的環境は多彩なものです。ブドウ栽培は市街地中の畑から山脈の麓まで拡大傾向にあります。
それでは早速南チロルワインの詳細を深掘りしていきましょう。
【南チロル:アルト・アディジェの概要】
●人口:52万人(イタリア総人口6000万人)→栃木県宇都宮市51,8万人
●面積:7,398㎢(イタリア総面積30万2000㎢)→熊本県7,409 ㎢
●山岳面積(1000m以上):86%
●州都:ボルツァーノ
人口10万人→長野県飯田市10,1万人
面積52㎢→千葉県八千代市51.4㎢
●言語:62%ドイツ語、23%イタリア語、5%ラディン語、10%その他
●重要都市:ボルツァーノ、メラーノ、ブレッサノーネ、ブルーニコ、ヴィピテーノ、キウーザ、ライヴェス、グローレンス
【南チロル(アルト・アディジェ)のブドウ栽培の現状と形状 】
●ブドウ栽培農家社数:約5000社
●ブドウ栽培就農人口:約1万人
●作付け面積:5500ha
●州面積と作付け面積との割合:0,75%
●ブドウ畑の標高:220〜1.200m
■220〜300m:29%
■300〜500m:57%
■500〜:14%
●平均収穫量:約4,600t
●原産地呼称名称: DOC Alto Adige + ブドウ品種(全生産量の約75%を占める)
●その他DOCのサブエリア:
- Lago di Caldaro ラーゴ・ディ・カルダロ(スキアーヴァ種)
- Alto Adige Valle Isarco アルト・アディジェ・ヴァッレ・イザルコ(指定の白と黒ブドウを使用)
- Alto Adige Santa Magdalena アルト・アディジェ・サンタ・マグダレーナ(スキアーヴァ種)
- Alto Adige Terlanoアルト・アディジェ・テルラーノ(白のキュヴェでピノ・ビアンコ・シャルドネを最低でも50%使用)
- Alto Adige Meraneseアルト・アディジェ・メラネーゼ(スキアーヴァ種)
- Alto Adige Val Venosta アルト・アディジェ・ヴァル・ヴェノスタ(指定の白と黒ブドウを使用)
- Alto Adige Colli di Bolzano アルト・アディジェ・コッリ・ディ・ボルツァーノ(スキアーヴァ種)
●土壌:主に斑岩(ハンガン)石灰岩、粘板岩スレート、氷河堆積物、砂利、粘土
●天候:
■ミクロクリマの多様性
■アルプス山脈による北部からの寒気や大西洋からの悪天候軽減
■南イタリア、地中海地方に似た暖かい気候
■緯度による非常に暖かい気候
■オーラという町は夏の最高気温をだす
■芳香性のあるワインを生産するために理想的な寒暖の差と安定した晩秋
■暖かい地を好むカベルネ種やラグライン種に適した土地
■白ぶどうやピノ・ネロは標高の高い冷涼な畑で好条件のもと生産
■日照日数は平均約300日
■平均年間降雨量:500ー800mm
●植樹率の割合:55%白ブドウ、45%黒ブドウ
●白ブドウの植樹率割合(全対比55%):
ピノ・グリージョ12%
ゲビュルツトラミネール11%
シャルドネ10%
ピノ・ビアンコ10%
ソーヴィニヨン・ブラン7%
ミュラー・トゥルガウ4%
シルヴァーナー1%
モスカート・ジャッロ1%
ケルナー1%
リースリング1%
●黒ブドウの植樹率割合(全対比45%):
スキアーヴァ22%
ラグライン8%
ピノ・ネロ7%
メルロー4%
カベルネ3%
モスカート・ローザ0.3%
●ワイン生産者数:約140社(プライベート生産者を含めると約260社)
■13協同組合(同地域内ワイン生産量の70%)
■35家族経営のワイン農園(同地域内ワイン生産量の25%)
■92個人ワイン生産者(同地域内ワイン生産量の5%)
●年別によるブドウ収穫量
1995年-309,000 hl
2000年-348,000 hl
2005年-303,000 hl
2008年-314,000 hl
2009年-327,000 hl
2010年-302,000 hl
2011年-339,000 hl
2012年-326,000 hl
2013年-363,000 hl
【地図】
【サブリージョン(詳細地域)】
① Bolzano(Santa Magdalena) ボルツァーノ(サンタ・マグダレーナ)
作付け面積:707 ha
標高:250-900m
特徴:温暖な流域、量産
② Valle Isarco イザルコ渓谷
作付け面積:397 ha
標高:400-800m
特徴:アルプス麓に近い生産エリア
③ Val Adige アディジェ渓谷
作付け面積:264 ha
標高:250-900m
特徴:長期熟成タイプの白ワイン産地
④ Merano メラーノ
作付け面積:393 ha
標高:300-800m
特徴:ワインと観光の融合地
⑤ Val Venosta ヴェノスタ渓谷
作付け面積:76 ha
標高:500-800m
特徴:リンゴ栽培との併合
⑥ Oltradige オルトラディジェ
作付け面積:1684 ha
標高:300-700m
特徴:古城が点在する長閑な地域
⑦ Bassa Atesina バッサアテズィーナ
作付け面積:1872 ha
標高:200-1000m
特徴:Gewürztraminer ゲビュルツトラミネール発祥の地
【参考資料】
Vini Alto Adige da sflogliare (Consorzio Vini Alto Adige)
Cucina & Vini Rivista
いかがでしたか。
次回は土壌や地形ついて深掘りしていきたいと思います。
このブログでは南チロル(アルト・アディジェ)州を中心に、様々なワイン生産地を気候、歴史、独自ブドウ品種などを紹介しております。
もし気になる生産地やワイン、ワインメーカーなどございましたら、どうぞお気軽にコメント欄にお書きください。
それでは楽しいワインライフを。
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