【アフターコロナ】レストランが再開して

およ 2ヶ月の休業を経て、5月11日に私の働いているレストランが再開しました。今回のブログでは再オープンまでの準備とオープンしてからの具体的なオペレーション、・・・・などについてお伝えしたいと思います。

私たちのように飲食やホテル業に携わっている方にとって何かヒントになる内容があれば嬉しいです。

現在半数以上のスタッフが国の機関から休業補償を受けている状況ですが、その中でも幹部クラスはリモートで会議に参加したり再開時のオペレーションを考案したりと仕事は続いていました。そんなか今週5月11日にイタリア全土で一番最初に商業活動を再開したのがここ南チロルでした。今でも国と州との掛け合いが日々新聞に取り上げられていますが、それはさておき全セクションが一丸となってこの日を迎えました。

各セクションとも人員を最大限に削減し、少人数で運営できる仕組み化というのがポイントでもありました。同時に衛生面に気をつけることも増え、セクション毎のマニュアル化というのが早急な課題でもありました。実際にディレクターやオーナーも含め初めての経験なので走らせてみて微調整をしながらの作業となります。


今回の目玉プレキシガラス

飲食で最大の課題は【顧客との距離をいかに保つか】ということです。顧客とスタッフの間だけでなく、顧客間同時、それはテーブル毎、またテーブル内も含めての内容です。一番に取りかかったのは樹脂を使用したプレキシガラスの設置です。当ホテルでは既に組み立てられたものをレセプションに2台設置し、レストラン・バールでは当ホテルの資材部がサイズ調整をして土台とともに数十台作ってくれました。

顧客は予約の段階で、ビジネスユースかファミリーユース、どちらの利用かを伝えていただき、レストランはそれによりプレキシガラス設置、または撤去を事前に行います。当レストランでは準備の段階で全てのテーブルに設置し、その都度撤去する形をとっています。


事前準備

衛生面では事前準備の簡素化及び、スタッフの体温チェックとマスク・ゴム手着用、また顧客が退店されてからの消毒作業が徹底されるようになりました。出勤したスタッフは全員レセプションで体温をチェックし記入します。37.5度以上あると退勤を余儀なくされます。

そしてメニュー構成も約4割ほど削減し、シンプルですがボリュームがあり少人数で回せるオペレーションという内容になっています。テーブルセッティングは上記にもあるようにプレキシガラスのみをテーブルの上に乗せ、お花やコンディメント(塩・胡椒・オリーブオイル)は置きません。またプレキシガラスには両面印刷をしたQRコードを貼り、顧客が自身のスマートフォンでレストランメニューを閲覧できるようにしています。テーブルクロスも180cm四方の1枚のみで、モレットンという衝撃を和らげるためのアンダークロスも敷きません。至ってシンプルなセッティングです。

隣のテーブルとの距離は2m開ける必要があり、顧客同士の椅子に至っては1mという基準があります。ここで気をつけることはそれぞれのテーブルにサービス用テーブルを設置することと、全体的なバランスを考えて、人テーブル毎に座る位置を変えるということです。「統一感」と「距離」が重要です。


オペレーション

ビジネスユースかファミリーユースか利用目的を事前に把握した上で、レストランは予約のテーブルのみセッティングを行います。実際にセットするものはナプキン、パン皿、そしてお水グラスのみです。グラスは上部を下にして置きます。

顧客が来店すると再度利用目的を伺い、お席へご案内します。その際、他のお客様の近くにはご案内しない、またスタッフと顧客との距離も意識します。着席されたらQRコードのご案内と換気をする旨しっかりとお伝えします。イタリア人のお客様には風を気にされる方も多いので、そのような方は窓やドアから遠い位置へご案内します。またメニューに関してQRコードのご案内をするのですが、紙に印刷をしたメニューの方をご希望される方が多いが実情です。

メニューをご覧いただいている間、お水やパンをお持ちします。お水は通常通り冷やしたものか常温かお好みを伺いますが、サービスする際、係から注いでいいか、それともご自身で注がれるか伺うようにしています。お持ちした後もスタッフは通常お水を注ぐようにしていますが、距離を保つこととオペレーションの簡素化でそれ以降は顧客が自身で注がれることが多いため、事前にその旨伺います。

パンに関しては、以前までは小さい容器に数種類盛り合わせてお持ちしてました。しかし今回からは持ち回りでお持ちするようにしています。パンを伺う際は顧客にはマスクをしていただくようにお願いしています。

ご注文の際は十分の距離を保った位置で伺い、その後必要に応じたシルバーをセッティングしていきます。通常注文を伺った後メニューを下げるのですが、それを下げずにテーブルに置いておきます。追加で注文が入る可能性があるのと、印刷した紙は破棄するため、他のメニューと混ざらないようにする必要があるからです。

ワインのサービスに関しては正直困ってます・・・、マスクで鼻を覆っているため品質を確認するためその都度マスクを外さないといけません。グラスワインに関してはカラフワインをお勧めするか、スクリューキャップのワインにするか、工夫できることはあると思います。

お皿をお持ちする際ですが、ゲストに【お皿持ってきてますよー】という雰囲気をだしてます(笑)。多くの顧客は口を紡いで目の前を開けてくださいますので、お皿を静かにお出しします。そして少し離れてから、一言・二言料理の説明してテーブルから離れます。  お下げするときも同様で、【お皿下げますよー】って雰囲気をだし、「いかがでしたか?」と一言伺い下げます。

食中に起こる状況に関して深掘り

コンディメント(塩・胡椒・オリーブオイル)を聞いてこられた場合、基本スタッフがそのお手伝いをする方針で「ご自身で味付けなさいますか?それとも私どもでお手伝いしましょうか?」と伺います。気にされる方はスタッフにお任せする方も一定数いらっしゃいます。

爪楊枝を聞いてこられた場合、以前までは専用の容器に袋詰めされたものをお持ちしていましたが、必要な数だけお伺いしお持ちするようにしています。束でおかないということが重要です。

中座された顧客に関しては、移動中はマスク着用をお願いし、お戻りの際は入り口で手の消毒をしていただくようご案内しています。お食事中の中座の場合は、通常通りお皿に被せる金属製のクロッシュをお持ちし、シルバーは新しいものに変えます。


ご注文全てお持ちした後にはデザート、またはコーヒーなど食後のお飲み物をお勧めします。その場合、テーブルに置いてあるメニューをご覧いただくか、口頭でご案内します。

コーヒーなど食後のお飲み物をお持ちする際は、袋詰めの砂糖をお皿に乗せ、ご要望に応じて黒糖や甘味量を別の容器に入れてお持ちします。その際、テーブルにはコーヒー以外置かないというのがポイントです。


そしてお会計ですが、イタリアはテーブル会計が主流です。ホテルゲストにはお部屋付のご案内をし、極力現金やクレジット決済の対応を省略化します。その他一般の顧客には現金、またはクレジットカードでご対応しますが、現金の場合もそうですが、クレジットカードの場合、ご署名にスタッフからボールペンを受け取ったり、PINコードを入力したりします。多くのものに触れる機会が多い状況なので、キャッシャー周りには消毒用アルコールを常備し、場合によってはテーブルまでお持ちするようにしています。

ゲストがお帰りになったら

トレーを使いテーブルに残ったものとクロスを下げます。その後、リセットする前に専用の洗剤とトーションを使い、机・椅子・プレキシガラスの拭き掃除をします。通常、他のゲストがいる前は行いませんが、テーブル数が限られていることと、新たに他の新規顧客が同じテーブルを利用されることも想定し、その場で除菌作業を行います。

全てのゲストがお帰りになったら、後片付けを始め入り口のドアノブ周り、注文用パソコン周り、サービス用テーブル周りや備品等をそれぞれ除菌作業を行い、全てのテーブルをリセットした状態にするという流れです。


その他

朝食のブッフェは現在行なっていません。滞在される顧客もわずかということで朝食はルームサービスを行なっています。専用の用紙を作成し、ゲストにその都度ご記入いただくのですが、その準備もレストランスタッフの仕事です。大きめのトレーに予め用意できるものをセットしていきます。シルバーやナプキンは使い捨て用のものを使用し、ジャムやコーヒーの下皿、コーンフレークやミューズリーなど小分けにしたものを注文に応じてセットしていきます。翌朝のオペレーションは別のセクションスタッフが行うため、SNSを活用し社内でグループを作り、前日までにオーダー表と詳細を共有します。この辺りもオペレーション側の要望に耳を傾け柔軟に対応を変えていくようにしていきます。


顧客の印象

まだ2日・3日程度しか経っていませんが、顧客の中には面白がってプレキシガラスの写真を撮る方もみられたり、ちょっとガッカリされる方が多かったのも印象的でした。また一方では進んでQRコードからメニューを閲覧される顧客、ちょっとナーバスに塩・胡椒の味付けをスタッフにお願いしたりする顧客、お部屋にマスクを忘れたとおっしゃる顧客などなど、顧客によってそれぞれ温度感が違うのも事実です。顧客がマスクを着用するのはこの州では義務ですので、万が一このような場合には貸し出しできるようなマスクを予備しておくのも重要です。

すぐには収束する問題ではありませんが、南チロルとして、またホテルとして少しでも経済活動のお役立ちになれればいいなと思っています。


関連情報



いかがでしたか。 

このブログでは南チロル(アルト・アディジェ)のワインを中心に、生産者の情報や関連イベント、製品からその味の感じ方まで紹介しております。 

また今回のようにレストランサービスの現状や具体策などもご紹介できればと考えています。 

もしご不明な点やワインに関する気になるジャンル、生産地、ワインメーカーなどございましたら、どうぞお気軽にコメント欄にお書きください。 

それでは楽しいワインライフを。


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Avvocato del Vino Altoatesino

【旧:南チロルの風ブログ】2003年よりイタリア・南チロル地方(イタリア語:アルト・アディジェ州)で働くソムリエが、ワイン生産者やイベント、地域について紹介するブログです! 【南チロルの風ブログURL: https://altoadigefiordiciliegio.blogspot.com/】

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