今回は昨年末(2019年12月3日)に行われたメーカーズディナーについてレポートしたいと思います。案内役はワイン街道南部・ニクラーラに位置するティッフェンブルンナー社のオーナー、クリストフ氏とエノロゴのステファン・ローレッガー氏。そしてベストソムリエに選ばれたエロス・テボーニ氏です。場所はメラーノのヴィッラ・エデンで食事に合わせたワイン会が行われました。
ソムリエ:エロス・テボーニ氏
会場に到着すると素敵なサロンでクリストフ・ティッフェンブルンナー氏、ステファン・ローレッガー氏、そしてソムリエのエロス・テボーニ氏がフェルドマーシャルを振る舞ってくれました。本日の参加者は12人で、ホテルレストランに勤めている方々がほとんど。中にはワインジャーナリストの方もいらっしゃいました。この日の流れは食前酒のフェルドマーシャル2018年(2020年5月リリース予定)を飲みながら、カンティナの紹介や作り方のこだわりをお話しいただきます。その後、テーブルについてヴィッラ・エデンのコース料理とともにトップライン「ビーニャ・Vigna」の複数ヴィンテージを合わせていくというスタイルです。
左:クリストフ・ティッフェンブルンナー氏(オーナー)
右:ステファン・ローレッガー(エノロゴ)
今回試飲したワイン
■ Feldmarschall von Fenner Müller Thurgau 2018(白)
■ Chardonnay AU 2017/ 2016/ 2015(白)
■ Sauvignon Rachtl 2016/ 2015(白)
■ Cabernet Sauvignon Riserva Toren 2016(赤)
■ Feldmarschall von Fenner Vendemmia Tardiva 2016(甘)
【ワインの詳細】
ワイン名: フェルドマーシャル・フォン・フェンナー ミュラー・トゥルガウ [Feldmarschall von Fenner Müller Thurgau]
年号: 2018 (2020年5月リリース)
URL: https://www.tiefenbrunner.com/it/portfolio-item/vigna-feldmarschall-von-fenner/
生産初年度:1991
平均生産本数: 16.000本
ブドウ品種: 100%Müller Thurgau
土壌性質: 49 % 砂質 42 % シルト 09 % 粘土 + 大理石, 斑岩, 花崗岩、ドロマイト
畑の名前: フェルドマーシャル @ホフシュタット, ファヴォーナ・ディ・ソット
畑の向き: 南向き
畑の大きさ: 3ヘクタール
畑の管理形態: 自社畑
平均海抜: 1000m s.l.m.
栽培方法: スパッリエーラ(グイヨ式)
平均樹齢: 20〜30年
密植度/h: 8.500 本/ha
最大収穫量(resa): 35 - 40hl. / ha
収穫法: 手摘み
発酵&マセレ容器:大樽
マセレ温度: ?
発酵温度:?℃、
発酵期間:?日間
樽熟成: 12ヶ月
熟成容器: 大樽+INOX
樽メーカー: ?
清澄: ?
瓶熟:6ヶ月
アルコール度数:13,5 %vol
酸度: 6,7 g/l
残糖度:3,4 g/l
【試飲情報】
色合い: 艶のある麦わら色、若干縁が緑がかった状態
香り: 白い花を連想させる強い香りに加えて黄色い果実を連想させる。黄桃、アプリコット、
味わい: ミネラル感が引き締まる味わい。エレガントな骨格に酸の後味がバランスをとる。
味覚図:
サービス温度: 10 - 12 °C
クリストフ氏のコメント:
➡︎この年は遅めの開花。夏は非常に暑くなる畑で、この年は80日でブドウが完熟したヴィンテージだった。植栽本数72本からスタートした背景がある。「フェンナー」とはこの農場の持ち主だった方の名前で、「フェルドマーシャル」とはオーストリア・ハンガリー帝国時代の英雄でナポレオンと対峙した人物名。この土地の象徴としてこの名前をつけたかった。
1980〜1981年にかけて9割のぶどう樹がダメージを被った経験がある。理由は極度の乾燥であった。標高が高い地域(約1000m)の畑では2〜3回に分けて収穫をする。ボトリティス菌が付着している果実も含み収穫する。発酵は大樽で行い引き続き約一年熟成。2017年は若干涼しく収穫量の2・3割は遅積みブドウを使用。とてもいいビンテージだった2018年は収穫を10月に始めた。ボトリティス菌の割合は少なく全体の10から15%だった。
【ワインの詳細】
ワイン名: シャルドネ・アウ [Chardonnay AU]
年号: 2017 / 2016 / 2015
URL: https://www.tiefenbrunner.com/it/portfolio-item/vigna-au-chardonnay/
生産初年度:2014
平均生産本数: 1.800本
ブドウ品種: 100% Charodnnay
土壌性質: 49 % 砂質 42 % シルト 09 % 粘土 + 大理石, 斑岩, 花崗岩、ドロマイト
畑の名前: ヴィーニャ・アウ @ニクラーラNiclara
畑の向き: 南向き
畑の大きさ: 1,0 ha
畑の管理形態: 自社畑
平均海抜: 260 - 320 m/ slm
栽培方法: スパッリエーラ(グイヨ式)
平均樹齢: 〜50年
密植度/h: 8.000 本/ha 植栽初年度: 1967
最大収穫量[resa]:35-45 hl. / ha
収穫法: 手摘み
発酵&マセレ容器:小樽
マセレ温度: ?
発酵温度:?℃、
発酵期間:?日間
樽熟成:12ヶ月➡︎6ヶ月
熟成容器: 大樽+INOX
樽メーカー: ?
清澄: ?
瓶熟:12ヶ月
アルコール度数:13,5%vol
酸度: 6,3 g/l
残糖度:0,5 g/l
【試飲情報】
サービス温度: 10 - 12 °C
● 2017
冷涼なヴィンテージなので比較的に細めのストラクチャー。しかし口に入れた後の肉付き、骨格はパワフル。ミネラル感を十分に感じる味わいに、果実味が後味にまで程よく残る。
● 2016
飲みやすいタイプのビンテージ。火打ち石、ミネラル、エキゾティックフルーツ、黄桃の香り。味わいはボリューム感と酸・ミネラル感が絶妙なバランス。
● 2015
州南部は暑かったヴィンテージ。CH PG, ME, CSにとってはリッチで樽との相性も良い状態。アルコール度数も高め。収穫は8月。奥行のある香り、柑橘系、南国フルーツ。凝縮感のある果実味と伸びるストラクチャー。バランス取れた酸味。
ステファン氏のコメント:
➡︎樽を購入する業者も同じ所から購入し、変化は唯一年号のみ。ヴィンテージキャラクターに影響を与えたくない。ジュラ地方のシャルドネを連想させる。
「アウ AU」は2013年からこのプロジェクトが始まる。単一のみのブドウを使用することが目的。2014年のビンテージからお城の裏手にある南向き斜面の単一畑にあるシャルドネで醸造。
ここ南チロルではシャルドネというブドウは1982年までは存在していなかった。1984年のビンテージからDOCに認定される。
フレンチオークで熟成したシャルドネは凝縮感を与えてくれる。 醸造は伝統的に房ごとまるまる発酵樽へ。決して遅積みのものはいれずに、収穫時の果汁糖度は最大で20Babo(KMW)までのもの。pHも極力低い状態のブドウを使用する。加えて古樹のブドウを使用。酵母菌は自然のものを使用し新樽率50%。澱との接触で燻した香りをもたらす。
因みにコルクは良質なものを使用しコスト一個0,80euro(約100円) イタリア語で”Vigna” はフランス語の”Grand Cru”に相当する。
【ワインの詳細】
ワイン名: ソーヴィニョン・ラハトゥル [Sauvignon Rachtl]
年号: 2016 / 2015
URL: https://www.tiefenbrunner.com/it/portfolio-item/vigna-rachtl-sauvignon-blanc/
生産初年度:2016
平均生産本数: 2.200本
ブドウ品種: 100% Sauvignon
土壌性質: 61 % 砂質 32 % シルト 07 % 粘土+ 高塩分, 低腐植度質
畑の名前: ヴィーニャ・ラハトゥル @アイカ・ディ・ソットAica di Sotto, di Fiè allo Sciliar
畑の向き: 南向き
畑の大きさ: 0,4 ha
畑の管理形態: 契約畑(向こう20年)
平均海抜: 590 - 630 m/ slm
栽培方法: スパッリエーラ(グイヨ式)
平均樹齢: 20年
密植度/h: 8.000 本/ha 植栽初年度: 1996
最大収穫量(resa): 40 hl. / ha
収穫法: 手摘み
発酵&マセレ容器:Tonneau +大樽
マセレ温度: 低温(8〜12時間)
発酵温度:?℃、
発酵期間:?日間
樽熟成:12ヶ月➡︎6ヶ月
熟成容器: 大樽(3000lt.)+INOX
樽メーカー: ?
清澄: ?
瓶熟:12ヶ月
アルコール度数:14 %vol
酸度: 6,8 g/l
残糖度:0,7 g/l
【試飲情報】
サービス温度: 10 - 12 °C
エロス氏のコメント:
●2015
香りは広い。バターのようなマイルド感。柑橘系、ライム、レモン、エキゾティックフルーツ、若干熟成、クリスピー、味わいは果実味が2度感じる。マイルドさにクリーンさがバランスをとり、桃の後味が特徴。ワイン畑が年号を作っていく。2015年はより凝縮あり早熟。収穫は9月下旬。
●2016
パッションフルーツ、香草、クリーンな印象。味わいはさっぱり感、フレッシュさにマイルド感が降り混じる。後味には柑橘系の香りが残る。イザルコ渓谷のソーヴィニョンは香りが特徴。カルダロやメラーノのソーヴィニョンは骨格が小さめ細め。2016年では晩熟。10日ほど遅め。
※味覚図を作成し忘れました・・・すみません。
クリストフ氏のコメント:
➡︎ブドウ畑からはミネラルをもたらす。2014年が初年度。2013の試作であはトンノーでマセレーションを行いボルドースタイルにした。しかしそれは望んだスタイルではなかった。因みに2018年は暑い年号。2019年はボトリティス、うどん粉病に苛まれる。ボルツァーノ近郊では雹害発生。
【ワインの詳細】
ワイン名: カベルネ・ソーヴィニョン・リセルバ・トーレン [Cabernet Sauvignon Riserva Toren]
年号: 2015
URL: https://www.tiefenbrunner.com/it/toren-vigneto/
生産初年度:2015
平均生産本数: 1.700本
ブドウ品種: 100% Cabernet Sauvignon
土壌性質: 61 % 砂質 24 % シルト 15 % 粘土(肥沃)
畑の名前: ヴィーニャ・トーレン @ニクラーラ Niclara
畑の向き: 南向き
畑の大きさ: 0,6 ha
畑の管理形態: 自社畑
平均海抜: 270 - 320 m/ slm
栽培方法: スパッリエーラ(グイヨ式)
平均樹齢: ?
密植度/h: 9.000 本/ha 植栽初年度: 1987
最大収穫量(resa): 25 - 30 hl. / ha
収穫法: 手摘み
発酵&マセレ容器:?
マセレ温度: 低温(8〜12時間)
発酵温度:?℃、
発酵期間:3週間
樽熟成:12ヶ月➡︎6ヶ月
熟成容器: Barrique+INOX
樽メーカー: ?
清澄: ?
瓶熟:24ヶ月
アルコール度数:14 %vol
酸度: 5,3 g/l
残糖度:0,5 g/l
【試飲情報】
色合い: 色合いは濃厚なルビー、
香り: 赤果実に香草・ハーブ、タバコ、リコリス。
味わい: 口当たりはマイルド、リッチな余韻。
味覚図:
サービス温度: 17 - 18 °C
エロス氏のコメント:
➡︎ カベルネ・ソーヴィニョン主体のトップ赤ワイン。アルト・アデイジェだとは思わないようなキャラクター。カカオやタバコのかおりが特徴的。滑らかな口当たりに威厳のあるタンニンにブルーベリーやブラックベリーの果実味が鼻の奥に後味として戻ってくる。トーレンはブドウ畑の名前。お城の裏手にある畑で塔という意味のラディン語(この地域で古くから話されている言語)。
【ワインの詳細】
ワイン名: フェルドマーシャル・フォン・フェンナー・ミュラー・トゥルガウ・ヴェンデンミア・タルディヴァ [Feldmarschall von Fenner Müller Thurgau Vendemmia Tardiva]
年号: 2016 (2022年リリース)
生産本数:約1500本
アルコール度数:8,5-9,5%
酸度:9g/lt.
残糖度:100g/lt.
※詳細はメーカーズディナーでお話しいただいた項目のみ載せています。
【試飲情報】
色合い: 粘性のある黄金色
香り: 香り高いブーケ、花の香り、アカシアの蜂蜜、りんごを煮詰めた香り、クリスピー、サフラン、カモミール、
味わい: リースリングのような口当たり、柑橘系な後味が残る
味覚図:
クリストフ氏のコメント:
➡︎初のミュラートゥルガウの遅積みの甘口ワイン。ボトリティス菌のついた果実のみのブドウのみを使用。2016年のビンテージでは単体で醸造することを決めていた。因みに2018年のビンテージも産している。ドイツの規格だと「ベーレンアウスレーゼ Beerenauslese」ワイン自体が個性を語るワイン。
いかがでしたか。
このブログではでは南チロル(アルト・アディジェ)のワインを中心に、生産者の概要からワイン造りへの思いまで紹介しております。
今回のメーカーズディナーで作り手の思いに触れることができました。この『ヴィーニャVigna』ラインはフランスの【グランクリュ(特別畑)】を意識した逸品で、ヴィンテージに個性を語らせるというのが一つのこだわりです。ですので醸造工程はほぼ毎年同じスタイルです。また2022年にリリース予定のフェルドマーシャル・ヴェンデンミア・タルディヴァに巡り合えたのは本当に幸運でした。ミラモンティにいた時から同ワインは知っていたので20年越しの甘口というのは非常に感慨深いです。
もしご不明な点や気になるワインメーカー、ワイン、生産地等ございましたら、どうぞお気軽にコメント欄にお書きください。
それでは楽しいワインライフを。
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