インターネットワイン通販【タンニコTannico】その商機を探る
2,500のワイナリー、14,000を超えるラベルの種類、そして簡素化されたシステムで、数回のマウスクリックまたはスマートフォンのタップで簡単に注文できる。それが今回ご紹介するワインオンラインショップ「タンニコ」です。
タンニコとは・・・
なぜタンニコ(渋味)という名前がついたは定かでないのですが、イタリアワインの最大のワインショップなのは間違いありません。昔からあるワインショップと比べると規模もスピードも速く、2019年に100万本を超える本数を世界中の10万人以上の顧客に販売および出荷し、イタリア全土で24時間以内に配達されることを保証するeコマースサイトというのも一つアドバンテージだと思います。ちなみにミラノ市内では同日配送、米国なら2週間以内で配送します。
この会社は、2013年にマルコ・マーニョカヴァッロ氏という起業家であり、優れたデジタルエキスパートによってに設立されました。彼はモバイルデバイスから購入する消費者の傾向を最大化することに注力し、3年前の売上全体比率が20%から現在では40%まで上昇しています。 売上高もそれに伴い、2016年の収益は680万ユーロ(約7億9,000万円)から2019年12月末には、国際事業の拡大により、36%増の2,030万ユーロ(約23億2,000万円)に達しました。
国際需要は注文件数全体の10%(2016年)から40%(2019年)まで増加しました。 マーニョカヴァッロ氏曰く「カタログの品揃えから、製品の在庫状況まで、ポジショニングからブランディング、コミュニケーション活動まで、さまざまなコンポーネントの組み合わせ、配送サービスの効率、24時間年中無休のカスタマーケアまで注力したことが勝因」とのこと。
また彼はワインの価格設定に関しても「上質なワインは割引になることを望んでおらず、ここ数年間ほぼ定価で販売しています」 とワインラバーの側面も見せています。
(出典:TannicoのHP)
タンニコの次の視点・・・
ただしマーニョカヴァッロ氏は、経済的観点から企業の安定期には入っていないことも認めており、引き続き事業拡大を視野に損益のバランスを目指す方向で考えています。 具体的に成長を続けるためのスタートアップ戦略は、「低コスト」の市場アプローチではなく、進化した方向を目指しています。
■ 一般消費者(個人)向け(B2C)
タンニコではフライングスクールというワイン教室を開催しています。ワインの知識を学べるだけではなく、『パーソナルソムリエサービス』という付加価値も提供することで人気を博しています。3月に行われたミラノとローマでのコースは全て完売。
■ 企業向け(B2B)
ワイン生産者を技術および物流レベルでサポートする「ワイン・プラットフォーマー」という観点(立場)で、企業向けのビジネスにも多くの商機が隠れています。 それはホスピタリティー産業・レストラン、ワインバー、ホテルチェーンに対して、 商品カタログだけでなく、販売ツールキット(産地地図や所在地における需要分析)、またワインリストを構成するサポートなどコンサルタントサービスなども検討しています。
■ミラノに実店舗とワインバー のオープン
そして2020年はタンニコにとって新たなスタートの年になります。それは、実店舗への参入と2つのワインバーのオープンです。 この記事が出たのが3月5日ですので非常事態宣言が勧告される前でしたが、それ以前までは「4月の初めを目処にミラノに2つの店舗をオープンする予定でした。1つはすでに発表された大規模プロジェクトの一環で鉄道駅構内にオープン。もう1つ目はサヴォーナ通り(ミラノ市内南西の地区)のワインバーです。
今後の展開としてタンニコは、ワインに関連する新しいアイデアやサービスを引き続き市場に発信していくことで、誰もが楽しみながら、簡単にアクセスできる新しいワイン環境を伝えていくことが課題である、ということです。
まとめ
このeコマースを成功させるためには市場調査が欠かせません。イタリアは年間約33リットルのワイン消費国。また全人口の83%が携帯電話(スマートフォン)を所有しているという世界第3位の普及率。
そこにIT技術を掛け算していきます。モバイルガジェットからのアクセスの簡素化、パーソナライズ化されたソムリエサービス。そしてセット販売促進から顧客のデータ履歴をもとに関連商品の掲示。またソフトなサービスも忘れません。24時間年中無休体制のカスタマーサービスと国内24時間以内の配達。
これらが全てが掛け算で成り立ったビジネスモデルです。
またもう一つポイントをあげるとするのであれば、この事業をワインのスペシャリストが開発していないということです。つまり詳細説明をワインが知らない人でもわかるような情報発信や、見やすく選びやすいサイト構成など、ワインに対して敷居を感じさせない演出が肝中の肝なのではないかと考えています。プロとしての立ち位置でアマチュアの目線を重視した取り組みは、他のどの職業にも参考になる考えだと思います。
これらの背景が年商20億を超える結果となったのでしょうが、マーニョカヴァッロ氏の見ている先にはワインプラットフォーマーとして更なる確信が期待できると思います。
いかがでしたか。
このブログでは南チロル(アルト・アディジェ)州を中心に、様々なワイン生産地を気候、歴史、独自ブドウ品種などを紹介しております。
また今回のようにイタリア現地の飲食事情や経営に関するヒント、関連記事、企業情報などもお伝えする内容です。
もしご不明な点や気になる点、その他ワイン生産地、ワインメーカー、気になる商品などございましたら、どうぞお気軽にコメント欄にお書きください。
それでは楽しいワインライフを。
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