今回はカンティナ情報です。南チロルでは35の家族経営ワイナリーが存在しています。南チロルワインの概要をまとめたものがありますので、そちらもぜひご覧ください。
前のお店からの知り合いということで、長い間個人的によくしてもらっているカンティナです。特別贔屓はありませんが、フランツ氏の一言は今も私の胸に刻めれています。
「ワインは飲まれるために作られる」
【生産者概要:Franz Haas】
●所在地:モンターニャ(オーラ市)
●住所:Via Villa 6、 39040 Montagna
●URL: http://www.franz-haas.com/new/
●創業:1880年
●プレジデント: Franz Haas(7代目)
●エノロゴ: Franz Haas(7代目)
●栽培面積:55ha
●畑の標高:240m〜1150m
●生産ライン:計17種類
Pinot Grigio、Pinot Bianco Lepus、Gewürztraminer、Petit Manseng、Manna、Moscato Giallo、 Sauvignon、 Pinot Nero Rosé、Pinot Nero、Pinot Nero Schweizer、Lagrein、Merlot、Istante、Moscato Rosa、Pas Dosé Pinot Nero、Sofia MÜLLER THURGAU、Sofia SCHIAVA
●生産本数:約300.000本
●観光:カンティナツアー(要予約) 最大8人
●ワイン販売: カンティナに併設 9-12 14:30-18:30 月-土
●お勧めレストラン: ガストホフ・クローネ アルディーノGasthof Krone, @Aldino
●インポーター: 株式会社ワインウェイヴ
「最高の品質を追求すること」
これがFranz Haasフランツ・ハースがワイナリーとして取り組んでいる最大のミッションです。1880年に誕生したこのワイナリーは現在7代目当主によって運営されています。先祖代々Haasハース家では、産まれてきた長男に「Franz フランツ」という名前を与える伝統を受け継いできました。
現在、7代目の長男でもある8代目フランツ・ジュニアもワイナリーで父と共にワイン造りの現場で働いています。
1980年代にはブドウ畑の大部分が見直され、より「テロワール」という概念にフォーカスされるようになりました。つまりそれぞれの土地にあった品種を栽培すること。ワイナリーでは、自社畑を含めて、約55ヘクタールの栽培地からブドウが収穫されます。
畑の標高は、海抜220メートルから最高1150メートルにも達する高度に位置します。多種多様なミクロクリマと、斑岩を含む砂土、粘土、石灰質の土などの様々な土壌という恵まれた条件で栽培されています。 2000年には、気候の温暖化を懸念して、標高1150メートルの土地での栽培を決定。現在、イタリアのアルト・アディジェ(南チロル)州で最高の高度に位置するブドウ畑となっています。あれから19年余りが経過した今、高地の畑でブドウを育てるいう選択は間違っていなかったと感じています。理由は結果にも繋がっていて、日夜の気温の差が十分に大きいこと、一日当たりの日照時間が4時間も多いこと、また際立った酸と豊かな香りを持つ長期にわたって楽しめるワインが生産できること等、まさに「テロワール」を表現しているからです。
ブドウ畑は、Montagna モンターニャ村、 Egna エーニャ村、Trodena トロデナ村、Aldino アルディーノ村に位置しています。 代々ワイナリーは、ブドウの樹の育成を大切にしてきました。したがって、ブドウの樹の栽培には、自然のプロセスを活用するオーガニック資材のみを使用し栽培しています。ブドウ畑には草が密集してはえているところも多く、非の打ち所のない庭のようには見えませんが、その分虫媒花という自然の受粉プロセスが進められているのです。これは何よりも、未来の子孫のために、美しい自然を残すためでもあります。
「フランツ・ハースといえばピノ・ネーロ」
7代目Franzフランツは、この頑固で感受性の強い、そして最も満足感を与えてくれる品種に対して、大きな情熱と探究心を注いできました。日々の惜しみない労力にもかかわらず、この品種は常に生産できるとは限りません。トップラインの一つでもある「Schweizer(シュヴァイツァー)」も同様です。このように品質基準でリリースするか否かは、ここアルト・アディジェの生産者の中で共通認識とされています。それだけ品質に対する認識が高いともいえるのです。
エチケット(ラベル)
Franz Haasフランツ・ハースのもう一つの特色は、ワインのラベルです。制作にあたったのは芸術家のリッカルド・シュヴァイツァー。彼は過去に、ピカソ、シャガール、コクトー、ポール・エルアール、ル・コルブジエのような有名な芸術家とのコラボレーションをする経験もありました。 フランツの妻マリア・ルイザとは、長年家族ぐるみで交流がありました。マリア・ルイザがフランツと知り合った頃、リカルドはフランツが造るワインを手にする機会がありました。ワインに貼ってあるクラシカルなラベルを見て、「ぜひ私にラベルを描かせてほしい」と申し出たリカルドは、ブラックとゴールドの配色で、シンプルであるにもかかわらず、強烈なインパクトのあるラベルを描きました。それを大切にマリア・ルイザは保管していました。
フランツがこのラベルを使おうと最初に選んだのは、トップラインの一つ「Pinot Nero Schweizerピノ・ネーロ・シュヴァイツァー」 でした。ファーストヴィンテージは1987年、リリースは1990年。当時、一般的に使われていたラベルは伝統的でシンプルなものだったので、相当なインパクトでした。しかし人々はワインの品質に加えて、ラベルにも評価をし始めるようになりました。 実はここに、フランツが新しいワインを世に出す時に、リカルドの描いたラベルを妻マリア・ルイザからお守りとして渡されたというエピソードが隠れていました。この事がきっかけで、Franz Haasのラベルが世に注目されるようになったのです。
あれから30年余りが経過した今でも、街中にあるワインショップやレストランでもこのようなラベルが目立ち、人々の記憶によく残るものとなっています。「ピノ・ネーロ・シュヴァイツァー」はそのパイオニア的存在と言えます。
SOFI ソーフィ
「ワインは話し相手であり、喜びである。父が作る自分の名前のワインボトルを開けるのは、この上ない幸せなことである」
「娘との約束」
この「プロジェクト・ソーフィ」は昨日今日で生まれたものではありません。私たちの娘ソフィアが小さい頃から、「自分の名前がラベルに書いてある自分だけのワインが欲しい」という約束を親子で大切に守っていました。それを実現させるためにたくさんの時間をかけてきましたが、ソフィアの成長とともに、我々親世代が「若い味」というニーズにより触れることができました。
娘との約束から親が新たな発見を得た機会となったわけです。
Sofi シリーズのワインは、Müller Thurgau(ミュラー・トゥルガウ)、Schiava(スキアーヴァ)、Rosso(ロッソ)があり、地域やテロワールの特色を持つフレッシュなワインとなっています。
【参考資料】
Franz Haas HP
[Vini e Cantine dell'Alto Adige] Christoph Tscholl Angelika Deutsch
[Guida Veronelli]2020
いかがでしたか。
次回はいよいよカンティナ訪問記です。
このブログではでは南チロル(アルト・アディジェ)のワインを中心に、生産者の概要からワイン造りへの思いまで紹介しております。
もしご不明な点や気になるワインメーカー、ワイン、生産地等ございましたら、どうぞお気軽にコメント欄にお書きください。
それでは楽しいワインライフを。
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