毎年メラーノで行われるワインイベント、インターナショナル・ワインフェスティヴァル。
4日間で1万千人以上もの来場者が見えるのですが、その期間中に「マスタークラス」と呼ばれる試飲会が行われます。
その中で今回はサン・ミケーレ・アッピアーノ社のトップライン『アッピウス』の比較試飲が行われました。
その模様をレポートします。
【試飲会の概要】
日時:2018年11月10日 10:30-
場所:ホテル・テルメ・メラーノ
登壇:ハンス・テルツァー 当カンティナの代表エノロゴ
試飲するワイン一覧:
Appius 2010
Appius 2011
Appius 2012
Appius 2013
Appius 2014
Sauvignon The Wine Collection 2015
【カンティナの歴史】
サン・ミケーレ・アッピアーノは1907年に創業。
創業当時は27の農家からスタートし、現在は340の農家と契約している。
生産比率:白ブドウ70% 黒ブドウ30%
総面積:385ha
栽培品種:PB、GWT、PG、CH、SV、Ries、PN、Schiava、LAG、ME、CAB
【プロジェクト『アッピウス』ができるまでとその概要】
『アッピウス』の初ビンテージは2010年。
25年ハンス・テルツァーが働いてきて、この期に「サンクト・ヴァレンティンを超えるラインを作りたい」という思いがあり、そこから出たアイデア。
※サンクト・ヴァレンティンSanct valentinとは1986から生産しているトップセレクションライン。
【ワインの詳細】
ワイン名: 『アッピウス』
生産者: Cantina San Miche Appiano
生産初年度:2010
平均生産本数: 5,000-6,000
ブドウ品種: シャルドネCH、ピノ・ビアンコPB、ピノ・グリージョPG、ソーヴィニョンSV
土壌性質: モンテ・アッピアーノの石灰質土壌に粘土質が混じったものとモレーン土壌
畑の名前: ?
畑の向き:南東から南西
畑の大きさ: ?
畑の管理形態: 契約畑
平均海抜: 450-600m s.l.m.
栽培方法: グイヨ式
平均樹齢: 25 〜 35年
密植度/h: ?
最大収穫量(resa): 35 hl/ha
収穫法: 手づみ
発酵&マセレ容器:トンノーTonneauまたはバリックbarrique
マセレ温度: ?
発酵温度:?℃、
発酵+マロラティック期間+熟成:11ヶ月
熟成: 3年
熟成容器: INOX ステンレスタンク
樽メーカー: ?
清澄: ?
瓶熟:?ヶ月
サービス温度:8-10°
インポーター:モンテ物産株式会社
【逸話】
新しいプロジェクトの考案にあたり、「品質の継続性」というのをキーワード掲げる。
それは特別畑にフォーカスするものではなく、様々な地域の品種をブレンドして作るというアイデア。
ゲビュルツトラミネール(GWT)は品種のキャラクターが強すぎるため入れたくなかった。
4種を破砕、圧搾後、木樽に移されてアルコール発酵を行う。
その後マロマティック発酵も木樽内で行われ、ブレンドしたのちINOXステンレスタンク内でシュール・リー3年熟成が行われる。3年のステンレスタンク熟成を経てボトリングされる。
これがスタンダードなスタイル。
ブドウ畑での仕事内容は細部にわたって細かな作業が重要になる。
一部時期をずらした収穫期など収穫年ごとにスタイルの違う作業工程。
このビンテージを2014年にリリースした際、ジャーナリストに苦言を呈される。
「ブルゴーニュワインのコピー品」「樽のキャラクターが強すぎる」
しかし現在はその印象は皆無。むしろフレッシュな酸がいまだに生き生きとして、まだまだ熟成年数を減ることができる印象。
なぜ樽熟成が必要なのか?
最高の品質で収穫ができたブドウを長期熟成に耐えられるために樽熟成は必須。
取り分けシャルドネやピノ・グリージョのような骨格あるの品種には最適。
ハンス・テルツァーの求めるワイン造りの哲学とは・・・
ワインは飲まれるのもであり、そこには「心地よさ」が必須である。その点を日々追求している。
これは飲んだ時に、何も考えずにただ「美味しい」と思えるスタイルを作り続けるということ。
『アッピウス』とは古代ローマ時代の貴族の名前。
アッピアーノの土地を印象付けるような名前にしたかったが、アッピアーノの街は古代ローマ語で「アッピアヌムAppianum」という。しかし負に落ちずに結局貴族の名前を命名する。
ラベル:ボルツァーノのとあるレストランでラベル考案のミーティングがあった。
10種類ほどの中からハンスが決断したことは、毎年これらのラベルを使用するということ。
因みに2011年のラベルはトスカーナの数学者が描いたという。
【試飲スタート】
※今回興味深かったのは年語が古い順から試飲がスタートしました。
2010
フレッシュな年号。非常に白ワインには最適な条件。 酸が特徴的。
シャルドネをベースにSV PB PGがブレンド。
品種割合:65 % CH、 15% SV、10% PG、10%PB
香り:キャラメル、バニラ、バター、
味覚:スタートは丸い印象、ブレンド特有の複数回あるボリューム感、取り分け後味にかけて現れるボリュームが大きい。ミネラルは舌の中心から両サイドに広がり、逆に酸は両サイドから中央に寄ってくる。ミネラルと酸が交わる位置に強い塩っぱみを感じる。
味覚図:
アルコール度数:13.5 % vol
酸度: 5.2 g/l
残糖度:3 g/l
2011
暑いビンテージ。 オルトラディジェではひどい雹害に見舞われた。特に赤ワインにダメージ。
白ワインは優秀な品質まで保つことができた。 厳しい選果をして量も生産量を下げる。
品種割合:33% SV、33%CH、33%PG
SVは実際はここまで比率を上げたくなかったが、仕方がない選択だった。
香りではそこまでSVを感じさせないが、味でははっきりと感じる。
PG はオルトラディジェでは高貴なブドウ品種。
香り:すぐり、パッションフルーツ、芝、ハーブ、バニラ、ロースト香
味わい:細めのスタート、酸の伸びが特徴的で、後味のボリュームは比較的コンパクトな印象。後味にかけて引き締まるミネラル感はより塩みをもたらす。
味覚図:
アルコール度数:14 % vol
酸度: 5.3 g/l
残糖度:3.5 g/l
2012
白ワインのヴィンテージ。SV を少なくし、通常のシャルドネ主体のブレンド。
品種割合:65% Ch、15%SV、10%PG、10% PB
ハンスはバロック風なスタイルと表現する。
骨格ストラクチャー、ミネラル、アルコール、エレガントさが特徴的。
調熟タイプ20年の熟成は可能と見解。
シャルドネの凝縮感、熟成した滑らかさが味わえる。
ブドウ畑は様々なエリアのものを使用。
コルナイアーノ近辺からモンテアッピアーノまで。その距離は4 km範囲。
PG PB SV は石灰質土壌。CHは石灰質とモレーン土壌のものを使用。
生産から4、5年経って、生産量の3分の2はアッピウスに注ぎ、残りの3分の1は研究のために使用している。
香り:くるみ(若干焦がし)、ヘーゼルナッツ、バター
味わい:スタートは細めな印象だが、第2のボリュームが非常に奥深い。強靭がミネラル感が舌の中央に存在し、酸は全体を覆うキャラクター。後味にかけて酸の伸びが強調されている。
味覚図:
アルコール度数:14 % vol
酸度: 5.2 g/
残糖度:3 g/l
いかがでしたか。
次回は『アッピウス』バーティカル試飲レポートの後半です。
また同2018年にリリースしたニューワイン『ザ・ワイン・コレクション』のレポートもございます。
どうぞお楽しみください。
このブログでは南チロル(アルト・アディジェ)のワインを中心に、製造工程から味の感じ方まで紹介しております。
もし気になるワインや生産地、ワインメーカーなどございましたら、どうぞお気軽にコメント欄にお書きください。
それでは楽しいワインライフを。
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